éditorial:A Notre avis

フェローチェ戦役がもたらすもの』

 「フェローチェ戦役が勃発したときは笑いが止まりませんでした。」こう語ったのはアインテップ第一市民に近いとある高級官僚であるA氏(本人希望により匿名)。「ウランの輸出国であるフェローチェが混乱に陥れば、需要と供給のバランスが崩れ始めるとの予測を立てていました。できるだけフェローチェには徹底抗戦してもらいたいですね。」こうも語るA氏はさらに続ける。「フェローチェ、連合国間での交渉が決裂したことについてはフェローチェ国民のことを思えばきわめて遺憾ではあります。しかし、わが国のウラン産業にとってはこれは大いなるチャンスでしょう。」
 アンフレック国の国際社会復帰直後から、アンフレック国のウラン輸出に頼った経済成長に対し警戒感を抱き、高圧なメッセージも送ってきたことがあるフェローチェ。そのフェローチェ戦役はわが国に何をもたらすのだろうか。それは、ウランの供給国としての地位上昇の機会である。そして、グランディオーソ宣言が受け入れられた場合、その地位上昇の機会は一瞬にして失われる可能性もあった。しかし、交渉が決裂した今、わが国は再度ウラン産出国としての地位上昇を狙える状況にある。
 わが国のウラン産業は核戦争前から存在した。内戦によって荒廃したわが国にとっての生命線はウラン産業でもあった。そのウラン産業の大いなるライバルが今倒れようとしている。このことをアインテップ第一市民は喜ばしく思っただろう。しかし、グランディオーソ宣言が出されたとき第一市民の心は大きく揺れ動いたはずだ。
 「もし、この宣言が受け入れられた場合、わが国は巨大な顧客を失うことになる。」彼の心はこの一文で満たされていたのではないか。
 そして、同時に大国の心情を損ねたくないという気持ちもあったのだろう。表立って宣言に反対することもできない、だが賛成することもできない。
 今、フェローチェの最後の抵抗はわが国の躍進の機会となりつつある。